梅肉色の脳細胞
もともと梅干しは好きだったのだが、何年か前からほとんど食べなくなってしまっていた。某国の食品の危険性がいろいろとささやかれまくられていてなんとなく遠慮したくなり、しかし国産のものの価格を考えるとわざわざ買うほどのことでもないように思えて。自分は好物といえどもあまり執着するようなこともなくて、状況によってこんなふうにあっさりと疎遠になったりするわけだ。まあ、あっさりしているのは食べ物だけについてのことでもないし、基本的に万物に興味がないんだな、きっと。
それはともかく、ただいま冷蔵庫の中にはその梅干しがあったりして。どうしてかというと、母上からいただいたからであったりするわけだった。それで、おそらく2年とか3年ぶりくらいにいただいてみたのだが、なんだかちょっと感動してしまった。あたりまえすぎるのだが、「ああこれはまぎれもなく梅干しだ」と、そんなことで。頭の中がほんのりと梅肉色に染まるような感覚というか。好きなんだよなあ…と、再確認。この梅干しのおかげで食卓ではしばらくそれなりに幸せな気分かもしれない。
しかしたぶんその後に自分で買うようなぜいたくは、やはりしないのだろう。こういう部分は強固だなあ、頑固ともいうか。