責任者を搭載せよ
傾向らしきものは人によってそれぞれ違いそうだが、現代であればわりと平均的な生活をしているだけで、いろいろな宣伝というものに遭遇することになるだろう。自分の場合を考えてみるならば、アニメーションな方面やコンピューター(ハードウェア・ソフトウェア)な方面での宣伝というものにかなり縁がある。こういうものはターゲットと効率を考えてやっているものだろうから、まあとりあえず自分の行動やら興味やらがかなり反映されているのだろうと思う*1。
さて、ここでコンピューターや機器に関する宣伝に限定して考えると、正直なところかなりひどい状況であると思うのだが、いかがであろうか。思わず反射的に「今すぐJAROに*2電話しよう!」「公正取引委員会*3なにやってんの!」なんて思ってしまうくらいだ。眉がぴくぴくするレベルのものは数えきれないように思われるわけだが、ここでは特に一つのキーワード「搭載」に注目してみたい。
とりあえず言葉の意味の説明はする必要もないと思うので省略するのだが、あなたはご存知であろうか。最近のハードウェアにはもう、やたら多くのものが「搭載」されていることに。もちろんそれが即座に問題であるということはない。たとえばわりと妥当であると思われるようなものの例としては
- 高性能プロセッサ(CPU)搭載
- 大容量メモリ(RAM)搭載
などがあろう。まあ、どこからが高性能でどこからが大容量かということについては、もちろん人によって判断が違ってくるのだろうとは思うが、わりと許される範囲でのアピールであるように思われる。
ところで、携帯電話の販売店のコピーで「宇宙一安い」などというものを見たことがあるが、もちろんこれはいくらなんでもそんなわけはないだろう(少なくとも断言はできないだろう)とわかっていつつ、こうしているのであろう。そして、おそらく(客を含む)ほとんどの人がすぐに誇張であろうと気づくようなレベルにまで至っているからこそ、これはけっこう許されてしまうのではないか。許せずに怒るほうが、なんというか、無粋な気がする。
…話がそれてしまったので、元に戻そう。現在の宣伝では、けっこう異常さを感じる「搭載」がかなり増えている気がする。たとえば
- 無線LAN搭載
- インターネット搭載
こんなものであるのだが、搭載できるものならやってみろと。いや、表現したいことはわからなくもないのだ。「無線LANでアクセスできるハードウェアなんですよ」「インターネットにアクセスできるハードウェアなんですよ」ということだろう。これも多くの人がすぐに意図を理解できそうな点で許してあげたい気がしてしまうかもしれないが、そもそも日本語として*4誤っていてだめなことになっているわけで、ここは認めてはいけない気がする。
思うに、ハードウェアとはもともと相性がいい言葉であるとは思うが、日本においてはこのジャンルで「搭載」という言葉の解釈を拡大して便利に多用しすぎていることが問題なのではないか。そして、なんとなくニュアンスが伝わるという雰囲気に甘えているのではないか。メーカーさんやお店ももうちょっと考えたほうがいいと思う。…とか書いているうちに、こんなのもあるのを思い出して
- Google搭載
さらに脱力した。いいかげんこれはGoogleさんの中の人が怒るかもしれないからやめたほうがいい。
とりあえずは責任者を搭載しなさい。即刻。
*1:ただし、パチンコ店のコマーシャルなんてものはそもそもそういうレベルではない気がする。
*3:参考 公正取引委員会 - Wikipedia http://www.jftc.go.jp/
*4:そもそも外来語の用語が含まれる時点で、もはや純粋な日本語ということでもないわけだが。