つれづれなる日記 @ maoo.jp

退屈な日々をより退屈な文章でだらだらと

リンクは冒険

関連
http://d.hatena.ne.jp/maoo/20090708/1247083537
参考
http://d.hatena.ne.jp/maoo/20081214/1229259054

 昨日も書いたことについてだが

ネット上の掲示板に海外の児童ポルノサイトのアドレスを掲載して不特定多数に閲覧させたとして、神奈川県警が男2人を逮捕。アドレス掲載で摘発されるのは全国初。
(略)
アドレスの掲載だけでの逮捕は、ネットユーザーに衝撃を与えそうだ。

Expired

逮捕された方がなにをやったかというと、やっぱりWWWの掲示板にURLを書き込んだだけだったらしい。これは衝撃というより深刻な恐怖だよなあ。
 すなわち、今回の場合を例にすれば、「実際に児童ポルノの写真なり動画なりというものをWWW上で掲載した場合」だけではなく「そのWWWサイトのURLの情報を他人に見える状態にした場合」も犯罪である…と疑われたということだから。「そのデータをコピーしてあらためて自分でWWWサイトを公開した」*1わけでもなんでもないのに、である。いくらなんでも、リンクというものを拡大解釈しすぎというか変に誤解しすぎである気がするのだが。
 実は、ハイパーリンクというものを理解していない人々は、予想されるよりもずっと多いのではないか。たとえばURLの場合、"L"="Locator"であることを考えればすぐわかるように、要するに場所を示している存在にすぎない。その場所にあるものをコピー・複製してもってくる行為でもないし、その場所にあるものについて「これは自分に所属するあるいは管轄のものだ」宣言をすることでもない。ただどこかを指差しているだけ…といったことだ。
 今回の件とは別に、「リンクされることはお断りできる」「リンクするにはオーナーの許可が必要だ」のような奇妙と思われる考え方をしている方々がたしかにいたりするわけだが、その場合もやはり、ハイパーリンクやURLというものがなんであるかをきちんとわかっていないのがそもそもの原因なのではないか。まったくの余談で偏見だが、WindowsなOSにおけるショートカットの*2ファイルとリンク先の実体ファイルの区別が不自由な人々を連想する*3
 というわけで、逮捕するとか裁判するとかやるならやるで、きちんとした知識がある人を関わらせて下さることを強く望む。そうでないと、とんでもない前例や判例なんかが誕生する可能性がけっこうありそうだ。もしもそうなったら、おちおちURLも使えない世の中になりそうだし、そしてWWWの検索エンジンが消滅するかも。今さら検索のできない世の中に戻ったら、これはものすごい退化だろうし、そんな未来は想像したくもない。

*1:もちろんこの行為をすることについては、著作権上の問題やらが別に発生するだろうが。

*2:なんなら、MacOSエイリアスでもUNIXシンボリックリンクでもいいが。

*3:ショートカットファイルだけをコピーして別のマシンにもっていって、「クリックしても文書が開けないのはなぜですか?」みたいなことをやらかす人々は、確実に実在する。