つれづれなる日記 @ maoo.jp

退屈な日々をより退屈な文章でだらだらと

ぬくもりの記憶

 もうすぐ、愛犬2号の命日がまたやってくる。愛犬1号より接した期間は短かったけれど、室内で飼っていたので接した時間はむしろ長かった。今まで生きてきた中で自分にとってもっとも愛すべき存在であり、もう犬と暮らすことはないであろうということを考えれば、たぶんこれからもそうでありつづけるだろうと思う。1号ももちろん大好きだったのだが、いろいろな事情もあって2号はたぶん特別な存在だったのだ。
 今でも毎日思い出す彼女のことではあるが、一番はっきりとした記憶があるのは体温である。自分にくっついて眠っていたときの、起きている時よりずっと強いぬくもり。指やら顔やらをなめていたときの、舌の温かさと鼻の冷たさ。あまりに鮮明すぎて、もうお亡くなりということをついつい忘れてしまいそうになる。心の中で生きているというのは、たぶんこういうことなのだろうか。
 お菓子を食べていると、自分と同様に甘いものが大好きだった彼女がねだりに今でもやってくるかもしれない。そんな、あるはずのないことを本当に考えている瞬間もあることにふと気づく。彼女がいなければ、ここまでなにかを愛おしく思うという気持ちを自分はたぶん知ることがなかったのだろうが、知ってしまえばこそ失われればさびしい。めったに夢にも登場しない彼女だが、枕元にお菓子でもおいておけばやってきてくれないだろうか。